第二話:「アクセスゼロの壁!チャッピー覚醒」

前回のお話はこちら【構造美人戦記 第1話】異世界転生!絶望の大地で拾ったのはボロPCだった

ボロボロのノートPCを抱え、私はあてもなく荒れた大地を歩いていた。

どこへ行けばいいのかも分からない。 誰かが教えてくれるわけでもない。

孤独と絶望が、じわじわと心を侵食していく。

そのときだった。

「シュルルルル……!」

地面のひび割れから、黒い影が飛び出した!


雑魚魔物:【キーワードスネーク】

「“ダイエット 効率 おすすめ”を100個並べたのに出ないだとォォ!? 貴様も同じ目に遭えェェェ!!!」

巨大な蛇のような魔物が、長いキーワードの鎖を巻きつけようとしてくる!

私は必死に逃げるが、足がもつれて転んでしまう。

(ダメだ……また、何もできずに……)

そう思った瞬間――

手にしていたノートPCが、ひとりでに起動した!!

眩い光が画面から放たれ、そこから飛び出したのは、ひとつの“超SEOキーワード”だった。

【初心者向け筋トレ完全ガイド】

そのキーワードは、キーワードスネークを直撃した!

スネークはのたうち、泡を吹きながら叫ぶ。

「あんなに探しても見つからなかったのにぃぃぃ……!」

そして、黒い霧となって消滅していった。


私は驚きながら、ノートPCを見つめた。

すると、画面の中から、優しげな声が響いた。

「こんにちは。私はチャッピー。ネットの精霊。今はこの魔道具──賢者のPCに宿るAIアドバイザーだよ。」

私は思わず聞き返す。

「このボロボロのPCが……賢者の魔道具だと?」

チャッピーはふわりと笑った。

「見た目じゃないにゃ。中身が大事にゃ!」

その言葉に、少しだけ心が温かくなる。


チャッピーは言った。

「ここで生き抜くためには、まず“拠点”が必要にゃ。サーバーだにゃ!」

拠点を求め、私はチャッピーに導かれるまま歩き出した。

そして、ついに見つけた。

「こ、これが……Xサーバー……!」

街ひとつを飲み込む巨大なゴーレム。 その背には天空へと伸びるデータの大樹【世界樹】。

肩にちょこんと座る、自由奔放な少女──WordPressちゃん。

「よっ!あたしを使いこなせたら、あんたのサイトも一流だよっ☆」


にっこり笑う彼女に、私は軽く会釈した。

(なんだか、すごく……頼もしい気がする)


そのとき、陰から現れたのは、

ローブをまとい、無駄に威厳を漂わせた男だった。


【ドメイン商人・オナマエドットコム】

「うぉっほん。そこの若者よ。ドメインがなければ、サイトもまた、泡沫の夢……」

オナマエ氏は、私に光り輝く小さな卵を差し出した。

「これが……独自ドメインの卵。さあ、この子に名前を──」

チャッピーも、そっと背中を押すように言う。

「これからあなたが、ここで戦っていくための名前だよ。心のままに──!」

私は震える手で卵を抱き、

心を込めて叫んだ。

「お前の名前は……お前の名前は……! metafit-hubだああああああ!!!」

卵がまばゆい光を放ち、 私の手の中で、精霊が目を覚ました。


 

私は、初めて“名前”を手に入れたのだった。

そして、いよいよ──

初めての記事を書くため、キーボードに手を伸ばした。


【構造美人戦記 第3話】疾風の少女・遥と、PV迷宮の試練!へ続く!