前回のお話はこちら【構造美人戦記 第2話】アクセスゼロの壁!チャッピー覚醒
初めての記事を投稿した。サイトも無事に立ち上がった。
「これで、世界に発信できる!」
──そんな高揚感は、数時間後には静かな焦燥へと変わっていた。
「……誰も、来ない。」
ページビューはゼロ。
訪問者もいない。
ただ静かに、時だけが流れていた。
「新人トレーナー、今こそ……次の世界に踏み込むときだにゃ!」 チャッピーがにっこりと笑う。
その手を取った瞬間──
世界が歪み、俺たちは”PV迷宮”へと転送されていた。
そこは、暗く、冷たく、広大な空間だった。 無数の道が入り組み、どの方向にも同じような景色が続いている。
そして──
「バウンスドラゴンだにゃ!!」
チャッピーが叫んだ。
視界の隅で巨大なモンスターが蠢く。
サイトを訪れてはすぐに離脱していく、直帰率の化身──バウンスドラゴン。
身構える暇もなく、俺たちは一瞬で吹き飛ばされた。
「ぐっ……っ!」
地面に叩きつけられる。サイト設計が甘かった、導線もなかった。
迷宮の中で、俺たちは完全に”迷子”になっていた。
そのとき──
サラサラと風を切る音と共に、ひとりの少女が現れた。
軽やかな足取り、鋭い眼差し。 銀色の髪をなびかせる少女は、迷宮をものともせず進んでいく。
「──立って。」
少女は手を差し伸べてくれた。
「この世界にはね──」少女は優しく微笑みながら、俺に語りかけた。
「記事を出すだけじゃ、誰にも見つけてもらえない場所がたくさんあるの。」
霧に包まれた迷宮。 遥の周りだけが、不思議と光に包まれている。
「私たちは、迷ってる人たちを導く存在。ただ目立とうとするんじゃない。──”ここに答えがあるよ”って、すぐ示してあげる。」
遥の言葉と共に、周囲に舞う風が霧を切り裂いていく。
「あなたの記事が、誰かの悩みを救う灯(ともしび)になる。でもそのためには、どこに進めばいいか、すぐにわかるようにしてあげなきゃいけない。
──それが、動線設計ってことだよ。」
彼女に導かれ、俺とチャッピーは動き始めた。
- 記事に明確なタイトルをつけた。
- 記事の中に、次に読むべき関連記事への道筋を作った。
- サイト全体のカテゴリを整理し、訪問者が迷わないようにした。
すると──
サイトの内部構造が光を帯び、迷宮に一筋の道が現れた!
バウンスドラゴンが、眩しさに耐えられず後退していく。
「やったにゃ!!」 チャッピーが飛び跳ねる。
少女は、静かに微笑みながら自己紹介をした。
「遅くなったね。私の名は──遥(はるか)。
“迷宮の風渡り”って、呼ばれることもあるけど……そんな大層なもんじゃない。」
「私たちの記事は、誰かの道標になるためにあるんだ。
あなたも、きっとね。」
遥はひとつウィンクして、風と共に軽やかに歩き出した。
「これで、まだスタートラインに立っただけ。でも──ここからだよ。」
こうして俺たちは、初めての壁を乗り越えた。
だが、次なる試練はすぐそこに待っている。
チャッピーが、耳をぴくりと動かす。
「新人トレーナー……次は“収益ゼロの壁”だにゃ!」
その先に、双子のように似た二つの気配──華恋と鈴の影が、微かに見えていた。
つづく──!