第5話:タグの呪いと閉じられぬ世界(真・最終稿)
新しい記事は完成していた。レイアウトも整え、画像も配置済み。あとは公開ボタンを押すだけだった。
──しかし、プレビューを開いた瞬間、すべては崩壊した。
「う、うわっ……!」
ヘッダーの下に突然現れる空白、ずれまくるボックス、消えたフッター。まるでレイアウトの亡霊が、画面を彷徨っているようだった。
チャッピーが目を細めてつぶやく。 「これは……タグの呪いにゃ」
「タグ……?」
「開いて、閉じなかった……そのまま放置されたタグたちが、怒ってるにゃ」
コードを見直してみる。だが、ぱっと見ではどこにもミスはない。
改行を一つひとつ追い、入れ子を確認し、divの数を数え……何度スクロールしても、何度読み返しても、見つからない。目は乾き、肩はこり、キーボードを握る指先に力が入る。 「なにが、間違ってるんだ……?」
焦燥感が胸を締め付ける。まるで“何か”が、正解をすれ違わせているかのようだった。
そのとき、空間にひびが入った。黒く染まったタグの断片が飛び散り、虚空から現れたのは……
閉じられぬタグの亡霊『オープン・タガー・マリー』
それは、ボロボロのHTMLコードが刺繍されたワンピースを着た、目に涙を浮かべた小さな幽霊の女の子だった。
「ひらいたのに……とじてくれなかった……」 「そのせいで、わたし、ここに残っちゃったの……」
そう語るや否や、彼女はスタートタグ <div>
を魔法弾のように放ってきた!レイアウトが歪み、構造が破壊されていく。
『わたしはマリー……閉じられないタグから生まれたweb界の亡霊……』
華恋が前に出る。「細けぇことはいいのよ! <br>
を何個も入れれば整うわよ!」
チャッピー「ダメにゃ!今、それやったら……無限ループ発生にゃっ!!」
構造の歪みが波のように広がる。タブレット型デバイスが蒼白に光り、画面からタグの炎が噴き出す。
「我が魔法《レクイエム・インライン》……ッ!インラインスタイルで強引に整えてやるッ!」
──だが、そのスタイルはマリーの放つタグ干渉によって吸収されていく。
「そんな小手先じゃ、わたしは救えないよ……」
🕯️マリーの記憶
「わたしね……ずっと待ってたの。あの時、記事の中で <div>
を開いてくれた。きっと、なにか楽しいことが始まるんだって思ったのに……」
回想の中、ページの下部に未完の構造がぼんやりと浮かぶ。
<div class="story-box">
<h2>キャラ紹介</h2>
<p>この物語には個性豊かなキャラクターが登場します。</p>
<!-- … -->
閉じられぬままの枠、配置がバラバラな要素たち。
「待ってたのに……何度も何度も更新されたのに……誰も、わたしを……閉じてくれなかった」
チャッピー(小声で)「これは……長く放置されたタグの“残留意識”にゃ……」 「でもまだ……完全に壊れてはいない」
その時、ふわりと現れたのは鈴だった。
「タグって、言葉と同じだと思うんだ。始めたら、ちゃんと終わらせないと──気持ちが伝わらないよ」
彼女はそっとキーボードに触れ、閉じタグ </div>
を1行追加する。
すると、画面が静かに落ち着き始めた。
マリー「やっと……閉じてくれた……」
マリーの姿がだんだんと薄くなり、やがて光の粒となって消えていった。その表情は、どこかほっとしたように微笑んでいた。
チャッピー「これは……収まってきてるにゃ!」
そして、女神スピトが光とともに姿を現した。
「開いたタグは、必ず閉じる。それが構造美の基本よ」
彼女の手からHTMLの構造図が舞い上がり、ページ全体が整っていく。
「コードって、言葉と同じなのね……」俺はつぶやいた。
チャッピーがにっこり笑った。「だから、ちゃんと閉じてあげるにゃ」
画面に整然と表示されるコンテンツ。完璧な構造。
「これが、“構造美人”……」
こうして、俺たちは“タグの呪い”を乗り越えた。
──だがその裏で、火花が散っていた。
「ちょっと!またフッターがずれてる!? どこのmarginよ、これ……!」
崩れたレイアウトを前に、華恋がエディタに向かって悪戦苦闘していた。
「私のレイアウト構築魔法《レクイエム・インライン》が……破られてるだと……!?」
そのとき、どこからかふわりと光が差し込んだ。 「ふっ……どうやら、またトラブってるわね♡」
横から現れたのは、先ほど神々しく登場したはずの──女神スピト。
「え、またアンタ!? さっき構造整えて帰ったんじゃなかったの!?」
「通信状況が不安定な気配を感じて戻ってきたのよ。神として当然でしょ?」
「はぁ!? いいから名乗りなさいよ!!」
スピトはピシッと姿勢を正すと、堂々と告げた。 「いーい?よく聞きなさい!」
「私は光の女神スピト!全能にして、この世のネットのすべてを司るものよ!!」
華恋はしばし沈黙したあと── 「……全能? 昨日うちのサーバー落ちてたけど?」
「そ、それは……闇の勢力による妨害が……っ!」
「ふーん、神様って都合のいい言い訳ができて便利ね」
「ちょ、ちょっと!神にもトラフィックの波はあるのよ!」
「じゃあ次からは帯域に余裕持たせて降臨してきなさいよね、駄女神」
チャッピー(遠くで)「構造が整っても……人間関係(?)はまだまだ混沌にゃ」
こうして、“タグの呪い”を乗り越えた構造美人たちの次なる戦いは──
「CSSカオスの壁」
見た目と中身が乖離しはじめる、あの悪夢のような戦場であった──
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