坂道マラソンって、登りがきついと思っていませんか?
自分もずっとそう思っていました。でも実際に走ってみてわかったのは、本当に怖いのは下り坂だったということ。
2023年にえびの京町温泉マラソンに初出場して、下り坂で膝を完全に壊しました。後半はほとんど歩くだけ。それでも「もう一度リベンジしたい」という気持ちが消えなくて、2025年に再挑戦しました。
この記事では、2回の出場を通じて学んだ「下り坂フォームの落とし穴」と、実際にGarminデータで確認できたコースの攻略ポイントをまとめています。
えびの京町温泉マラソンとはどんな大会か

宮崎県えびの市で毎年開催されるハーフマラソン大会です。コースの最大の特徴は、後半に向かって一気に標高が上がり、また下りてくる山越え型のコース設計にあります。
2025年の自分のGarminデータで確認すると、距離21.27km・総上昇量281m・最低高度219mから最高高度386mで、標高差は167m。数字だけ見るとそれほど大きくないように見えますが、問題はこの標高差がレース後半の体力が落ちた局面に集中していることです。
心拍ゾーンを見るとその過酷さがよくわかります。走行時間のうちゾーン5(156bpm超・エキスパート)が75%、ゾーン4(138〜155bpm)が23%。つまりレースのほぼ全区間で心拍が高強度ゾーンに張り付いていました。

ラップデータを見ると、ラップ10(+56m登り)とラップ11(+40m登り)で一番ペースが落ちています。そしてラップ13では下降量が62mと最大の下り区間になっていて、2023年はここで膝にきました。数字で見るとあの苦しさの理由がよくわかります。

2023年:「下りは楽勝」の油断で膝が壊れた
初出場の2023年、日頃から室見川コースでアップダウンのある練習をしていたので、「登りはある程度いけるだろう」という自信がありました。そして下りについては、正直なところほとんど考えていませんでした。
「登った分だけ、下りは楽に稼げる」という感覚です。
下り区間に入ったとき、自然とストライドが広がりました。スピードが出る。気持ちいい。そのままピッチを上げてぴょんぴょんと下っていたら、着地のたびに膝にダイレクトな衝撃が来るようになって、残り5kmを切ったあたりからまともに走れなくなりました。
完走はしました。でもゴールしたときには笑顔がなかった。膝の痛みと、「やらかした」という後悔だけが残りました。
下りで膝が壊れる理由|「稼ぎどころ」と思うのが最大の落とし穴
なぜ下り坂で膝を痛めるのか。レース後に調べて初めて理解しました。
下り坂では、ストライドを広げて走ると着地の瞬間に体重の数倍もの衝撃が膝関節に集中します。平坦なコースより重力加速度が加わる分、着地衝撃はさらに大きくなります。しかも後半の疲労が溜まったタイミングで下り区間が来るので、筋肉の衝撃吸収能力はすでに低下している状態です。
レース中も、登りを飛ばして下りでスピードを出していたランナーが、後半に膝を押さえて歩いている姿を何人も見かけました。「下りはボーナスタイム」という認識が、実は一番危険です。
2025年:「下りを壊さずに走る」を唯一のテーマにして再挑戦

2025年の出場にあたって、タイムよりも前に決めたことがあります。「下りで膝を壊さない」を最優先にするということ。
具体的に意識したのは4点です。
① ストライドを広げない
下りでスピードが出てくると本能的に歩幅を広げたくなります。これを意識して抑えました。下りでも歩幅は上りと変わらないくらいを意識して、ピッチで走る。
② スピードに乗らず、コントロールを常に持つ
「速く下りよう」ではなく「脚を残して下りよう」という意識で。タイムを稼ぐより、後半に使う脚を温存することを優先しました。
③ 重心の真下に足をつく
前に足を突き出す着地は衝撃が膝に逃げます。身体の真下にそっと置くような着地を意識することで、衝撃をハムストリングスとお尻で受け止める形になります。
④ 上りで上がった心拍を、下りで意識的に落とす
心拍数が高いまま下りに入ると身体も緊張したままになります。下りをペースの回復区間として使って、呼吸を整えてから後半に備える。
結果、ゴールまで脚が持ちました。タイム2:21:27は決して速くないですが、ゴールしたとき笑顔でいられた。それが2023年との一番大きな違いです。
2023年のゴールは膝の痛みで顔が引きつっていました。2025年は、ゴール直前にスマホを取り出して写真を撮りながらフィニッシュゲートを通過しました。それくらい脚が残っていた。数字では伝えにくいことが、この一枚に全部出ていると思います。
Garminデータで見る「下り区間の前後」
2025年のラップデータを見ると、コースの山場がどこにあるかはっきりわかります。
ラップ10〜11にかけて登り区間が集中していて(+56m、+40m)、ペースは7:16〜7:02まで落ちています。心拍はここで最高に近い状態になります。
そしてラップ12〜13で下り区間が来ます(ラップ13の下降量が-62mで最大)。ここでペースを上げすぎず6:39〜6:51に抑えたことで、ラップ15以降も6:14〜6:06と後半にかけてペースを維持できました。
「下りで稼ぐ」のではなく「下りで温存する」。Garminのデータを見ると、これが正解だったことがよくわかります。


下り区間をコントロールして走ったラップと、後半のペースを比べると、やっぱり繋がっています。下りで飛ばさなかったから後半も脚が残せた。2023年に膝を壊したあの区間が、2025年では「気持ちよく走れた区間」になっていたのが一番嬉しかったです。
まとめ|坂道マラソンは「下りの走り方」が9割
えびの京町温泉マラソンは、登りの体力よりも下りのフォームと判断力が問われるコースだと感じています。
2回の出場で確信したのは、下り坂は「稼ぐ場所」でも「休憩区間」でもなく、**「脚を守りながら温存する区間」**だということ。これさえ守れれば、後半も笑顔でゴールできます。
坂道レースへの出場を考えている方は、ぜひ日頃の練習から下り坂のフォームを意識してみてください。普段の坂道ランで下りのコントロールを身につけておくことが、レース本番での最大の武器になります。
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